■住宅を造る
住宅の設計は私にとってとても楽しい仕事です。
いろいろな人達の人生観、価値観にふれる事ができます。
マンション建築などのように経済性が優先される(本当は違うと思うのですが)設計作業と住宅設計は明らかにその本質が違います。
これは人生道場に参加している感があります。
1980年初頭より仕事の多くを住宅に費やしてきました。
当時、北国の住宅は冬の寒さに対抗する手段を持ち得ず、間取りや、空間の造り、生活スタイルまでも萎縮しているような感じでした。
今ほど、その空間的な開放性は乏しかったように感じます。
欧米の雑誌で見る住宅の広々と空間が連続する表現はどうしたら可能なのかと不思議な思いでいたものです。
なぜ、北海道ではその様な住宅が不可能なのだろうか?たまに、吹抜けのある住宅に挑戦するのですが、それは燃料費をタップリ使うという建主の経済力に支えられたものでした。
私にとって大きな出会いがありました。
室蘭工業大学の鎌田助教授(現在は教授)との出会いです。
熱や空気の漏れのことを理解できなければ経済的で暖かな家造りはできないという事です。
今では当たり前の様に使用される言葉、「断熱性能」や「気密性能」のことです。
鎌田教授の手によるいくつかの実験住宅にふれる機会に恵まれ、又、実験住宅の実施設計と現場監理というチャンスに恵まれました。
ここでの体験は私にとって得がたい経験となります。
それから、私なりにいくつかの高断熱・高気密住宅への挑戦が始まります。
断熱材の施工方法、気密レベル確保の手法、施工手順の確立と次から次へとテーマが出てきます。
数年の施工例のデータ収集を経て多くのことを学び、身につけることができました。
1987年に断熱・気密工法の最終実験住宅として自宅を建設しました。
今まではデータ上の高断熱・高気密であり、断熱・気密性能の良い住宅では生活がどのように変化するのかという事のいわば人体実験の場です。
自宅での体験は私の住宅設計の方向をはっきりと決定付ける事になりました。
「北国の住宅は気持ち良く暖かいこと、
温熱環境の確立こそ生活デザインの基本だということ」
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■大胆に作って大らかに暮す
チマチマしたプラン、チマチマした形は避けたいと思っています。
「あーでもない、こーでもない」と考えてみても、所詮、住宅は「気持ち良く」暮せれば良いのです。限られた広さ、限られた予算など家造りは多くの制約と現実があるのは事実です。
どうしようもない現実と思われる事柄の最良の解決策は「創造力」です。
■狭い家でも広々と暮すアイデア。
■劣悪な敷地環境でも負けないアイデア。
■限られた予算で楽しむアイデア。
全ては「気持ち良く暮す」ための創造力と考えています。
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■断熱や気密のこと
「窓を閉めた時に室内環境を整える」ということが断熱や気密を語るときの全てです。
今までに断熱と気密について多くの方々が方々で語り書かれて出尽くした感があります。
実際となるとどうなんでしょうか?
街で見かける工事現場では首を傾げてしまうような手順や方法がほとんどです。
現実には驚くような住宅が今でも次々と生産されています。
多くの建主は「高断熱・高気密住宅」というパンフレットやセールストークにどこでも同じと思っているのではないでしょうか?
断熱・気密性能の確保はどの施工者でもバラバラです。
同じ会社の施工でも現場によってバラバラです。
正確な知識や施工手法を確立している施工者の方が少数だという事が現実です。
断熱性能は使用する断熱材の性能と施工精度によって決まります。断熱材が使用されているだけでは何の意味もないことを知っておいて下さい。
気密性能とは簡単に言うと建物からの空気の漏れ量の多少のことです。
気密化がさけばれた時、気密性能レベルで請負価格を決定した工務店がありました。当初、気密化のためには高度な技術とそれに伴う予算が必要と思われたからです。
実際は高気密化にはお金はかかりません。安価な資材と確かな知識があればよいだけです。
実際の生活では気密レベルの高さが生活環境を決定します。
暖房システムや換気システムの選択は断熱・気密性能によって決定されます。
断熱気密性能が高いレベルで確保された住宅の暖房システムは驚くほど簡単でコンパクトです。
換気システムも同じです。
断熱・気密性能が確保されている家はメンテナンス、リフォームが驚くほど安価に済みます。
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■家を造る材料
住宅をどのような材料で造るかという事はとても大切なことだと思います。
可能な限りの自然素材で内外を構成したいと思っています。
シックハウスなんて、はなから無縁です。
限られた予算内で自然素材を多用することはときにトラブルの原因になります。でもたいした話ではありません。無垢の木が割れたり反ったり開いたりと少々のヤンチャをするだけです。左官仕事でも多少のことはあります。
人間が健康に暮すことができれば問題にもなりません。
「自然」が表現する状態を私たちが認められるか、受け入れられるか程度の話だと思います。
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■資産価値を持つ家
私の家造りテーマのひとつに資産価値を失わない為の家造りがあります。
従来、日本では不動産価値があるのは土地だけです。
建っている建物は解体費用がかさむ邪魔者です。
土地と建物が一体で不動産価値を認める欧米との最も大きな違いかも知れません。
日本の住宅は概ね25年で壊されています。要因は物理的におざなりな造りと建主のわがままな家造りの姿勢。日本では住宅ローン残高ゼロと家の資産価値ゼロは同意語です。大手ハウスメーカーが建てようと、何十年保障の工務店が建てようと似たようなものです。むしろ使いこなされるという意味では短命かもしれません。
家の長寿の秘訣は住宅に対する価値観の共有です。
■丈夫である事。
■経済的で快適に暖かいこと…北国では最低条件
■長年の生活変化に対応できること…人は皆、齢をとる
■リフォームやメンテナンスが安価に可能なこと
…永久にもつ材料はない
■町並みにとって印象的であること…住んでみたい町並み
■愛着がもてること
中古住宅として市場にさらされる時、建設時の資金くらいは回収できるくらいの家造りをしたいと考えます。
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■家を作る人達
住宅をどの業者に発注するかは毎回、悩みの種です。
業者の仕事をこなすレベル、大工さん、左官屋さんや設備業者など出入り業者の技術レベルなどを把握しなければいけない事項がいくつかあります。
建主の住む地元の業者に頼みたいものです。 その家が存在する限り建主と業者の付き合いができれば最も良いことです。
ちょっとした不具合、メンテナンス、増築、改修、リフォームなど建主さんは気安く相談できるだろうし何より安心です。
そして、地元の経済活動に貢献できます。
業者にとっては長いスパンでの仕事の確保になります。
建主との良好な関係は「信頼される」という最大のセールスポイントです。
現実はどうでしょうか?
どの地域にも技術的に優れていて信頼を寄せることができる業者がいるのでしょうか?
ハウスメーカー以外は仕事を確保できない様な地方都市も多いようです。(それでも実際建てるのは地元の工務店です)
私にとって地元を離れて設計を行うことは非常に勇気のいることです。
多くの建主にとって一生に一度の大きな事業に参加させてもらうわけですから設計者も、施工者も常にそんな心構えでいたいものです。
可能な限り現場に足を運び、職人たちと会話し楽しみながらの家造りをしたい私には、業者の選択は最も悩ましいことです。
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■設計事務所と仕事をする
「設計事務所に仕事を頼むとどのくらい経費が掛かりますか?」という質問を受けます。
私の事務所では通常、工費の10%が目安です。
基本設計から始まり、いくつかの案を経て実施設計、積算業務、そして工事着工から完成までの現場監理、一切の経費です。
設計期間や工期などは物件ごとに変わります。
基本設計以降の作業はかなり自動的に工程を組むことは可能ですが、 基本設計の段階で建て主さんとの合意をみるまでの時間はそれぞれ異なります。3日でOKになることもあれば延々と1年以上になることもあります。
いずれにしても提案に対して建て主さんがOKを出すまで計画案の数は増え続けます。
私のほうから期間を区切ることはありません。 住み手と造り手が同じ方向を見ることが必要と考えていますので、互いに理解しあえるまでの時間は必要です。
建設会社やハウスメーカーが「自社に仕事を頼めば自社設計で費用は掛からないのでそれだけ建主の負担が軽くなります」と、 説明することがあるようですが、それは本当でしょうか?
■建設会社やハウスメーカーが建主の利益を代理できると思いますか?
■一般の建主にとって図面(小さな平面図程度)を理解することは可能ですか?
■工事費の内訳を理解できますか?
■現場での施工が正しく行われているかチェックすることはできますか?
■建設会社やハウスメーカーの家はあなたが望む「我が家」ですか?
多くの設計事務所では問い合わせや多少の質問程度には無料で対応してもらえると思いますので 恐れず、面倒がらずに、ぜひ一度設計事務所を訪ねてみてください。そして、相性が合わないと思ったら丁寧にお断りすればよいのです。
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記事掲載 建築誌
健康住宅づくりIESU2003 vol. 34 健康に暮す 北海道住宅新聞社
健康住宅づくりIESU1998 vol. 23
健康住宅づくりIESU1997 vol. 22
健康住宅づくりIESU1996 vol. 19
健康住宅づくりIESU1995 vol. 18
建築技術2002年3月号別冊7「外断熱ってしってる」
建築技術No612 2001.2
北のくらしデザインします:北の建築家たち PART5 住宅特集 リプラン特別編集
リプラン 01 VOL52
リプラン 99 VOL44
ディテール 127
北国の家No.10
北国の家No.8特集:北国の住まいの性能 北国企画出版社
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